コラム

<外来種シリーズ4>海外で猛威を振るう日本の植物「クズ」

今回は外来植物ではなく、逆に日本から海外に渡った植物についてご紹介します。

クズ

(マメ科クズ属)

日本原産のマメ科のつる性植物。葛粉(くずこ)はまさにクズの根から作られたものです。

家畜の飼料や土壌流出防止のための植物としてアメリカに渡り、野生化して今日ではアメリカにおける侵略的外来種になっています。果樹や植林木に巻き付いて著しく成長を阻害するため、生態系はもちろんのこと経済面でも大きな被害をもたらしています。文献によると、アメリカでは昆虫による生物防除を模索しているようです。

クズ繁茂

 

 

 

日本においてもフェンスや鉄線などを覆ってしまうため、管理に手を焼く植物です。

根が強く木質化し、越冬した匍匐茎の節からも芽を出すので根元を探すのは困難なうえ、つるは10m以上にもなるので一度繁茂すると刈込みも重労働となります。

 

匍匐茎から芽を出すクズ

匍匐茎の節から芽を出すクズ

 

葉は晩秋になると枯れますが、茎と根で越冬します。越冬した茎から春になると茎を出して、再び伸びていきます。葉が枯れる10月頃に種子を付けますが、発芽率は低いです。

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越冬した根から芽を出すクズ

 

クズは河川や里山などの代表的な雑草であり、日本でも困った雑草になる場面の多いです。

その為か、クズの登録を有する多くの除草剤があります。

 

弊社では、クズを対象とした生育抑制剤を紹介しております。

なかなか枯らしきらないという現場では、いっそ共存を兼ねて小さくなって大人しくしてもらおうという発想です。

クズの葉サイズ比較

無処理区のクズの葉(左)と生育抑制剤グリーンフィールドで小さくなったクズの葉(右)

 

グリーンフィールドのクズに対する抑制効果

無処理区のクズ(左)と生育抑制剤グリーンフィールドで節の短くなったクズ(右)

 

根が頑丈な分、完全に防除しようと思うと厄介ですが、生育を抑制することなら何とかできそうですね。

 

(参考文献)

北米侵入種クズPueraria montana (Lour.) Merr. var. lobata (Willd.) Maesen et S. Almeida (Leguminosae)の原産地域における天敵相/日本応用動物昆虫学会誌第55 巻 第3 号: 147–154(2011)

原色図鑑芽ばえとたね/著者浅野貞夫/株式会社全国農村教育協会