コラム

<少し変わった芝害虫シリーズ3>ヒメアシナガコガネ

3回目のコガネムシのテーマは、ヒメアシナガコガネです。

ヒメアシナガコガネは、ゴルフ場で、成虫、幼虫ともに芝の根や樹木の葉や花弁を食害する問題害虫です。

成虫は、黄色と黒の縦筋模様有名ですが、色々な変異体(模様がバラバラ)があって見た目のかわいいコガネムシです。白いものが大好きで、餌として白い花はもちろんのこと、白い服を着た人間にも男性女性構わず集まってきます。

ゴルフをしているプレーヤーにハエのようにたかってしまうので、沢山発生すると結構嫌がられたりします。また白いものが好きすぎて、白い容器の中に殺虫剤が入っていてもその中に飛び込んできてしまうくらいです(まさに自爆ですね)。

成虫は、日中は餌を求め白い花が咲いている植栽に群がったり、花が咲いていないときは柔らかい新葉をバリバリ食べています。日が暮れると芝地に戻ってきて、土の中でじっとして、卵を産みます。大体7月から1ヶ月ぐらいは、このような活動をしています。

アシナガコガネ成虫

白い花に群がっているヒメアシナガコガネ

土に潜るアシナガコガネ

グリーンに潜っていくヒメアシナガコガネ成虫

 

一方、幼虫はというと、土壌中で芝生の根を食べるのですが、ヒメアシナガコガネは、極端に小食で物凄くゆっくりと成長します。

普通のコガネムシは、卵から孵って2~3ヶ月ぐらいで一番大きな終齢幼虫(脱皮2回します)になるのですが、このムシは、冬になっても半分くらいは2令幼虫(脱皮1回だけです)までしか大きくなりません。

そのまま、越冬してしまいます。

コガネムシ生活環なので、土壌中に沢山幼虫が居ても芝が枯れるまでには至らず、ゴルフ場も気が付かない場合が多いです。私もゴルフ場で調査した時、わずかホールカップ一個分(直径20㎝ぐらい)の芝の根に30匹ぐらいの幼虫が居たことがあります。

しかもそれだけ居ても根がしっかり残っています(ふつう3~4頭ぐらいで枯れていきます)。どれだけ食が細いのでしょうか!!

 

ゴルフ場が、この幼虫を防除しようと殺虫剤を散布しても、中々芝の根をかじってくれないので、物凄く時間がかかってしまいます。

グリーンキーパーも幼虫が残っているので、薬が効いてないのではないかと勘違いしてしまうくらいです。

ネオニコチノイド系の殺虫剤を散布すれば大丈夫ですので、時間はかかりますが安心して防除してみてください。